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車の違反に対しては公安も厳しく取り締まっていますが、こと歩行者になると何故か全く注意しません。
この国では、常に自己主張をしていないと相手に自分を理解してもらえないようです。ここでは(或いは世界中の多くの国が?)日本的謙譲の美徳という考えは通用しないようです。……というか、日本人は非常に礼儀正しい素晴らしい国民だと多くの人々は認識していて、謙譲の精神は素晴らしいこともよく分かっているようなのですが、それをやっていては生活していけないのが現実のようです。
例えば、市場での買い物や観光地の入場券購入の際、並んで待っていても、いつまでたっても割り込む者が多く、黙って待っているだけではドンドン後回しにされてしまいます。また、その割り込み者に対しても並んでいる者も、切符の販売所の者も誰も注意しないのです。やはり早いもの勝ちなのです。(割り込みもふくめて!?)
日本的な常識のある人も多いけれど習慣がそうさせるのでしょうか?善し悪しは別にして、つまりこれが中国の常識となっているようです。
“中国と掛けて……その心”が理解できるようになればここでの生活にも腹が立たなくなってきますし、目に映るすべての光景がなかなか興味深く、味わい深く、楽しく過ごすことができるようになってくるでしょう。
いずれにしても、“常識”とは何を尺度に測ればよいのでしょうか?これはなかなか難しい問題です。
(5) 中国のマスメディア
平成7年は阪神大震災、オウム事件等日本にとっても災いの多い年だったようですが、中国に関してはどうだったのでしょうか?
中国の中にいると、テレビのニュース、新聞記事、雑誌等マスメディアは全て中国にとって良いことしか言わないためなかなか真の姿が見えてきません。核実験、人権問題、台湾海峡の軍事演習、チベット問題、海洋法条約批准問題(中間線問題)等の国際問題に関しては中国のマスメディアだけでは見えて来ません。台湾海峡軍事演習問題は海軍力の拡大・誇示という面のニュースはテレビ、新聞等で大きく取り上げられてましたが、それに対する世界の反響等についての論評は当然ながら一切ありません。

 

 

 

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